無罪判決
障害者団体向け郵便料金割引制度の悪用事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた元厚生労働省局長(54)の判決公判で、大阪地裁(横田信之裁判長)は10日、無罪を言い渡した。(2010/9/10日経新聞)
判決公判前に、元局長は朝日新聞の単独取材に応じて、以下のように語ったことが記事になっています。
検事は特捜部が作った私が知らない事件の「ストーリー」を繰り返しました。途中で「そうかもしれない」と思い、自信を持って否定できなくなる。「魔術」にかけられそうな怖さがありました。取り調べが始まって10日目、検事があらかじめ作った供述調書を持ってきました。それには、これまで言ったことがない元上司や部下の悪口が書かれていました。「こんなものにサインできない」と断ると、検事は「私の作文でした」と認めました。逮捕から6日後の昨年6月20日の取り調べでは、検事に「容疑を認める気持ちはないか」と説得され、さらに「執行猶予付き(の有罪判決)なら大したことはない」と言われた時は、怒りで涙が出ました。(2010年9月5日朝日新聞)
公務員として30年間勤めあげ局長にまで昇進した方だから、検察の用意したストーリーに対して自信を持って否定できなくなる「魔術」のような取調べに耐えて、事実と異なる供述調書の作成を免れることが出来たのでしょう。検察の「魔術」の力でしょうか、本件でも彼女の部下の方は、残念ながら不本意な調書にサインしてしまっています。
元局長は逮捕勾留後の取調べに関して、取り調べ状況などを記す「被疑者ノート」に記録をしていました。被疑者が否認する事件では、私たち弁護士は「被疑者ノート」への日々の取調べの記録を推奨しております。本件では、被疑者ノートがどうやらお役に立ったようです。
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