相続放棄と死因贈与の関係

相続手続の中で、法定相続人の一人が死因贈与を受けて、その余の相続を放棄することがあります。
例えば被相続人が事業をなさっている場合、後継者が事業資産および事業上の負債をすべて相続して、非後継者は一部の財産を受贈するのみで、相続を放棄することが考えられます。もちろん遺産分割協議の形式を取るのが簡便ですが、贈与と相続放棄を行うこともなんら問題ありません。
しかし、限定承認の事例ですがこの方法を否定された判例もありますので、大丈夫かな?と思われるときは、事前に弁護士など専門家に確認しておくと良いでしょう。

参考判例
不動産の死因贈与の受贈者が限定承認をした相続人であるときは、先に所有権移転登記を経由しても、信義則に照らし、これにおくれて差押登記をした相続債権者に所有権取得を対抗することができない (平成10年2月13日最高裁第二小法廷判決)