松本清張霧の旗

『霧の旗』は、生誕100周年を迎えた巨匠・松本清張が昭和35年に執筆した社会派サスペンスの名作。
 主人公・大塚欽也(市川海老蔵)は、立て続けに冤罪事件で勝利している若き敏腕弁護士。この主人公が、若く貧しい地方在住の女・柳田桐子(相武紗季)から、強盗殺人の犯人として逮捕された兄を助けて欲しいと何度も懇願される。多忙な主人公は、弁護を断わり、無期懲役の判決を受けた依頼人の兄は、控訴審中に獄死する。やがて、上京し銀座のクラブのホステスとなった桐子は、薄幸の素朴な女から美しく妖艶な女へと変貌し、ある決意を秘めて欽也に近づく・・・。
 主人公・欽也の天国から地獄への運命の奔流は、骨太なシェークスピア劇を彷彿させ、『冤罪』や『裁判制度』といった今日的なテーマを見据え、運命に翻弄される主人公の血みどろの戦いを人間ドラマとして描いた『霧の旗』は、重厚感あふれるヒューマン感動巨編に仕上がっている。(日本テレビHPより)

  • 感想

エリート弁護士の主人公が破滅していくストーリー。原作者清張先生は弁護士をお嫌いのようですね・・・
昭和35年原作執筆当時は、現在のように毎年千人単位で新進気鋭の弁護士が誕生する時代ではなかったのでしょう。弁護士は一般的には縁遠い存在であり、若く貧しい地方在住の女性にとっては、弁護士へのアクセスは十分ではなかったでしょう。当時に比べると、弁護士の人数も全国で28,000人を超え、法テラスや刑事事件に力を入れるパブリック事務所も各地に設立され、また、弁護士会経由でのアクセスも可能です。困ったときには、躊躇せずに弁護士にご相談になることをおすすめします。
ところで、市川海老蔵さん、かっこ良過ぎて弁護士には見えません。

霧の旗 (新潮文庫)

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