インターネットでも名誉毀損

個人がインターネット上に書く情報でも、不確かな内容で他人の名誉を貶(おとし)めてはならない。最高裁は、自分のホームページ上で外食店の経営会社を「カルト集団」などと中傷したとして、名誉棄損罪に問われた男性の上告を棄却する決定をした。罰金30万円が確定する。決定は、ネット利用者に対する警告だ。情報の発信には、慎重な配慮と責任が求められよう。この事件では、ネット上の表現が他人の名誉を傷つけたかどうかを判断する際、新聞などマスコミによる言論と同様の基準を適用すべきなのかが焦点となった。過去の最高裁判例は、大勢の人が関心を持つ問題について、社会の利益を図る目的で書いたのであれば、仮に内容が誤っていても相当な理由がある場合、名誉棄損罪にあたらない、というものだ。東京地裁は、ネット上では反論が容易なうえ、個人が発信した情報の信頼性は一般的に低いと受け止められているとして、無罪にした。個人でも可能な事実確認はしたという認定だった。これに対し、東京高裁は、ネット上の全情報を把握し、反論するのは不可能なことや、個人がネット上で発信した情報だから信頼性が低いとは限らないことなどを挙げ、逆転有罪にした。最高裁も高裁判決を支持し、不特定多数の利用者が瞬時に閲覧可能で、被害が深刻になりうることなど、ネット特有の事情も指摘、間違えたことに相当な理由はなかった、と結論づけた。(2010年3月18日読売新聞)

平成22年03月15日最高裁判所第一小法廷決定に関しての記事です。一審の東京地裁は、ネット上では反論が容易なうえ、個人が発信した情報の信頼性は一般的に低いと受け止められているとして、無罪にし、これに対し、東京高裁は、ネット上の全情報を把握し、反論するのは不可能なことや、個人がネット上で発信した情報だから信頼性が低いとは限らないことなどを挙げ、有罪にした。最高裁は高裁判決を支持し、
1 インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても,他の表現手段を利用した場合と同様に,行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り,名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって,より緩やかな要件で同罪の成立を否定すべきではないとした上で、本件は
2 インターネットの個人利用者による表現行為について,行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて相当の理由があるとはいえない
として,名誉毀損罪を成立するとしました。
今後のリーディングケースになると思われますから、注意しておきたいと存じます。