冒認特許真の発明者へ権利移転登録へ

特許庁は、特許を横取りされた発明者を救済するための法改正を検討し始めた。具体的には、本来の発明者ではない者が出願して取得した特許の名義を、真の発明者に変更できるようにする。今は偽の発明者に登録された特許であっても原則、名義が変更できず、特許庁に無効審判を請求するしか手はない。名義変更ならば迅速な対応が可能で、権利者の保護につながると判断した。産業構造審議会経済産業相の諮問機関)知的財産政策部会の下の特許制度小委員会で検討中。2011年度にも特許法を改正する予定だ。(2010/6/21 日経新聞

本来の発明者が冒認者(偽の発明者)に対して、特許登録後に移転登録請求をなしうることを認めた判例最判平13・6・12民集55・4・793)があります。しかし、この判例は特殊な判例であり、一般に移転登録を認めたものではないと言われています。
特許法のルールでは、冒認出願については、拒絶査定理由であり(特許法49 条7 号)、仮に特許査定がなされた場合も無効審判理由とされます(特許法123 条1 項6 号)。
しかし、真の権利者が冒認出願に気付かないうちに、出願公開されると、その時点で当該発明は公知となります。これについては、新規性喪失の例外(特許法30 条2 項)を適用することができますが、公開後6ヶ月を徒過した場合には、もはや例外の適用もできなくなります。
今回の改正では、一般に移転登録を認めようとするもので、傾聴に値します。