ピンク・パンサー日本に移送

 

東京・銀座の宝石店で2007年、2億円相当のティアラなどが強奪された事件で、警視庁組織犯罪対策2課は13日、強盗致傷容疑などで国際手配していた国際強盗団「ピンク・パンサー」のメンバーでモンテネグロ国籍、ハジアフメトビチ・リファト容疑者(42)を逮捕した。同容疑者の身柄を拘束していたスペイン当局から引き渡しを受け、マドリード空港に駐機中の航空機内で逮捕状を執行。警視庁の捜査員が移送し、14日午後にも日本に到着する。日本と犯罪人引き渡し条約を締結していない国からの身柄引き渡しは7例目。(2010/8/14日経新聞

日本国内で刑事事件を起こした者は、たとえ外国人であったり、外国に逃亡したとしても、引き続き日本の刑事手続きの適用を受けます。したがって、国外に逃亡した犯人は、日本国内で刑事裁判を受けるために、当該国に対して身柄の引渡しを要請することになります。逃亡した犯人の身柄引き渡しに関しては、特定の国とは「犯罪人引渡し条約」が結ばれており、引渡し対象となる犯罪、引渡し手続きなどが条約で定められています。わが国は、アメリカや韓国と条約を締結しております。
条約がない国との間では、身柄引き渡しを個別交渉するということになります。逃亡先の国の制度によっては、身柄は引き渡されず逃亡先の国に留めて、代理処罰によって、逃亡先の国で捜査、裁判そして刑罰の執行が行われる事件もあります。
本件ではモンテネグロ人の身柄をスペインが日本に引き渡したものです。一般に、逃亡してきた自国民を犯罪地の国に引き渡すことには消極的な国が多いと思われますが、本件は、スペインにとっては自国民でない被疑者を引き渡すのであるから、実現できたのでしょう。
ピンク・パンサー」は、アニメの主人公のようには、華麗に逃げ回ることはできなかったようですね。