米国と韓国の自由貿易協定(FTA)交渉合意と我が国への影響
米国と韓国の自由貿易協定(FTA)交渉が合意に達した。今後、FTAが発効すれば、日本の対米輸出は深刻な打撃を受けることになる。日本の対米輸出の約3割を占める自動車は競合する韓国メーカーの関税が一定期間後にゼロになり、不利な競争条件の下に置かれる。電気機械や化学などの分野でもじわじわと打撃が及びそうだ。(日本経済新聞2010/12/5)
貿易取引については、まず第一に自国の産業と輸入品との競合を考えて、輸入品に関税を課すことで、自国の産業の保護が検討され、次に、輸入品相互間でそれぞれの貿易相手国との間で、自由貿易協定(FTA)を締結してどの国との貿易を優遇するかを考えます。
現在は、さらに、環太平洋経済連携協定(TPP)という形で、多国間での自由貿易の導入が検討されています。
我が国が、TPPはともかく、FTAにも消極的である間に、米韓FTA合意が実現しました。我が国に先駆けて合意に至ったことは、お隣の韓国にとって大手柄でありましょう。
これにより、記事にあるように米国市場で自動車など我が国の輸出産業と競合する韓国メーカーの関税がゼロになり、一方、日本の自動車は関税が維持されると、関税分だけ米国内での自動車販売価格に影響がありますから、米国消費者として日本車を選択する動機がそれだけ希薄になるでしょう。
我が国はTPPを通じて米国と貿易自由化を進める方針だが、現時点では交渉のメドがまったく立っていません。
FTAを実現できるライバル国が現れた以上、米国との貿易交渉はこれまで以上の大きな問題といえそうです。
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