松本清張「一年半待て」

配偶者からの暴力(DV)に苦しんでいたさと子は、ある日、夫の要吉(西岡徳馬)を死なせてしまう。その直後、さと子はDV問題に取り組む弁護士のたき子(市原悦子)を訪ね、助けを求める。警察に逮捕されたさと子はDVの記録をブログにつづっており、さらに要吉が、さと子の知人、静代(清水美沙)と愛人関係であったことが明らかになる。さと子に世間の同情が集まる中、裁判が始まる。(2010年11月22日 読売新聞)

BS―TBSで12月8日午後9時から放映されました。
DVの夫を殺してしまった女(夏川結衣)の刑事裁判が主題のドラマです。原作者松本清張先生は、刑事裁判は真実を明らかにする手続きではなく裁判に提出された証拠の範囲で有罪か無罪かを判断する手続きであることを描いています。つまり、仮に、真実は犯人であっても、証拠が不十分であれば無罪になることもありますし、同情すべき証拠が揃えば、本来科せられるべき刑より減軽されることもあります。そのあたりの制度理念と現実のギャップを見事に表現したドラマです。
清張先生の小説の定番、もうひとつの特徴である「悪い弁護士」を市原悦子が演じきっているのも見所です。

松本清張傑作短篇コレクション〈上〉 (文春文庫)

松本清張傑作短篇コレクション〈上〉 (文春文庫)