民事裁判は誰を相手にするかが重要

愛媛県今治市で小学校の校庭から飛び出たサッカーボールをオートバイの80歳代男性が避けようとして転倒、その際のけがが原因で死亡した事故を巡り、大阪府内の遺族が訴えた民事訴訟で、大阪地裁がボールを蹴った当時小学5年の少年(19)の過失を認め、両親に約1500万円の賠償を命じた。(2011年7月8日読売新聞)

校庭でのボール遊びが、高額の損害賠償につながりました。
本件では、少年側は他人に損害を与えた場合に備えた保険(賠償保険)に加入しており、保険会社と男性の遺族間の示談交渉がこじれて、裁判に発展したとのことです。通常学校での事故は、学校の責任を問うケースが多いのですが、原告は「学校の責任を問うことで争点を増やし、審理が長期化するのは避けたい」として、裁判の被告を少年と両親に限定。このため、「学校の監督責任」は争われず、判決でも触れられませんでした。
民事裁判では、当事者が誰を相手にするかを選びますから、本件の学校のように、裁判の相手にされなかった場合は裁判上の責任を問われることはありません。本件では、元々賠償保険の保険会社を示談交渉の相手としていたために、記事のような結論になるのでしょう。