教育ルネサンス 法科大学院

読売新聞 教育ルネサンスhttp://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/で、先日から、法科大学院が連載されています。
法科大学院は、2004年4月に開校、既に2007年からは法科大学院出身の弁護士が仕事を始めており、2008年(61期)以降は、新たに弁護士となる者は旧制度出身者らを上回り、法科大学院出身者が多数となりました。
その一方で、法科大学院制度の良い点、悪い点を点検しておく必要があるでしょう。連載に期待したいと思います。
(1)〜(4)までで、気になるのは、司法試験合格者数に注目が行き過ぎているように感じられる点です。例えば、「四国ロースクール」の回(2009年2月14日 読売新聞)で

新司法試験合格者は2007年、08年ともに3人(受験者数は07年9人、08年21人)にとどまった。四国は弁護士過疎地域を抱え、弁護士数は4県で最多の愛媛でも116人、最少の徳島では60人にすぎない(08年3月現在)。
 法科大学院制度の狙いの一つに弁護士過疎の解消もあった。中山充・連合大学院研究科長は「地域に良い法曹を供給するため、2けたの合格が欠かせない」と力を込める。(2009年2月14日 読売新聞)

とありますが、四国ロースクールの建学方針の一つに弁護士過疎地域へ対応することであれば、過疎と多数は相反するものですから、多数の入学志望者が殺到することは考えにくいし、その結果、入学する学生数、大学院を修了した司法試験受験者数も限定的となりますから、おのずと合格者数も限られてしまい、今後も、飛躍的に合格者が増えるものでもないと考えられます。このことは、同じく志望者が限定的である連載(1)で紹介されている社会人向け夜間コースにおいても、合格者数を急増させる事は現実には難しいでしょう。
14日の記事でいえば、下記の観点が必要である事が述べられており、示唆的でした。連載の今後に、どのような切り口が登場するか大いに期待したいところです。

定員削減を求める声が高まる中、弁護士偏在解消や教育の機会均等の確保の観点も忘れるわけにはいかない。(2009年2月14日 読売新聞)