日銀 劣後ローン引受ですか・・

日銀、劣後ローン1兆円引き受け 銀行の資本増強、異例の支援


 日銀は17日、政策委員会の通常会合を開き、銀行の資本増強を支援するため、総額1兆円規模を上限にした劣後ローンの引き受けを検討することを決めた。国際業務を展開する大手銀行や一部地方銀行が対象。株価の下落で銀行の自己資本が目減りし、貸し渋りに走るのを防ぐため資本増強を支援する。

 中央銀行が民間金融機関の資本を引き受けるのは極めて異例。白川方明総裁は同日、記者会見し「円滑な金融仲介機能を確保し、金融システムの安定を図る」と述べた。早期の実施を目指し、ローンの利率など具体策の検討を急ぐ。

 株安や貸し倒れの増加で自己資本が目減りすると、銀行は経営の健全性を保とうと融資姿勢を厳しくする。必要な資金が企業に回らなくなり、景気悪化に拍車を掛ける恐れがある。

 政府は公的資金による資本注入制度を復活させ、総額12兆円の資金を用意し、金融機関の資本充実を目指している。ただ経営の自由度が低下することへの警戒心も根強く、2008年度内の活用は第2地方銀行の3行にとどまった。

 日銀は、政府の資本注入の中心となる優先株よりも、経営への関与度が小さい劣後ローンを引き受け、資本増強しやすい環境を整備。政府の取り組みに歩調を合わせる。(2009年3月18日 東京新聞

白川総裁の会見において、金融機関の自己資本強化の為のメニューが金融機能強化法、本件劣後ローン、そして市場からの調達と3つの選択肢が揃ったので、金融機関がメニューから適切なものを選択する事ができるとの趣旨の発言がありました。

確かに、品揃えが3つ揃ったのはその通りですが、実際のところでは、まず第一番目の金融機能強化法においては公的資金導入というとどちらかというとマイナスのイメージが払拭できないという問題があること、三番目の市場調達は発行体にとって良い調達になるかどうかはその時の市場の需給次第であり、ここに大手行についていえば、各銀行とも直近数ヶ月の間に既にかなりの額を調達してしまっており、投資家のエクスポージャーを使い果たしている懸念があること、そして、日銀の劣後ローンにいたっては、国際統一基準行(大手6行と地方銀行8行の計14行)対象全体で1兆円の枠という事ですから、一行あたりに割振ると規模としては小規模のものといわざるを得ず、その効果は限定的と考えられる事など、メニューのそれぞれの項目は一長一短であり、決定的に優れた手段は見あたらないようです。