平成21年新司法試験論文試験問題[公法系科目]と解説

平成21年新司法試験試験論文式試験問題を見終わりましたので、少しずつコメントします。
今日は、公法系について。(念のため、お断りしておきますが、私は実際の試験にはなんら関わっておりませんので、以下のコメントはまったく個人的なコメントです。)

第一問
〔設問1〕 県立大学教授が、勤務先から命じられた研究中止命令を取消す際、問題となる憲法上の問題
中心となるべき論点としては、
(1)大学と教授との間の行政処分を司法審査の対象とすることができるか
(2)中止命令の根拠となる規則・それに基づく処分が教授の学問の自由を制約することができるのか、規範を立てて判断する

〔設問2〕県立大学教授がした情報の開示が処分の対象となった際、問題となる憲法上の問題
(1)1の(1)と同様
(2)情報開示を禁止する規定・それに基づく処分が、患者の「知る権利」を制約することができるのか、規範を立てて判断する位でしょうか。

設問形式としては、設問1、設問2が独立した問題として、それぞれ教授側弁護士の主張、大学側の主張及びあなたの結論・理由を述べることになりますから、限られた試験時間内では、各論点を詳細に論ずる時間はなさそうなので、設問1と2の違いを意識しながら、短時間で要点を述べることになると思います。
問題文中から、論点を素早く抽出して、コンパクトにうまくまとめることができれば十分合格点ではないでしょうか。

第二問
〔設問1〕 本件建築物の建築を阻止するために考えられる法的手段、それを用いる場合の行政事件訴訟法上の問題点

問題をよく読むと、自然に書くべき内容が誘導されますから、上手に誘導されると、結果として、取消訴訟と執行停止について各要件を説明できればよいでしょう。問題文中の二人の弁護士のやりとりからは、各原告の原告適格と訴えの利益を問題としているように読めます。

〔設問2〕 本件確認の違法事由の検討

こちらも、問題文中に、違法となりそうな点が会話に上がっていますから、違法性のありそうなものから順に論じればよいでしょう。

第二問は、問題分に誘導されながら、重要な論点を拾って、的確に当てはめていけばよいでしょう。

憲法は、違憲審査の規範、行政法は、行政救済法についての論点を、限られた時間内にしっかりかけるように練習しておくことが合格につながりそうです。