改正検察審査会法で追起訴決定

自民党二階派政治団体「新しい波」が西松建設のダミー団体にパーティー券を購入してもらった問題で、東京地検特捜部は26日、政治資金規正法違反(他人名義でのパーティー券購入)の罪で同社元社長(70)を東京地裁に追起訴した。特捜部は被告人を一度は不起訴(起訴猶予)にしたが、検察審査会の「起訴相当」の議決を受けて、処分を改めた。西松建設の違法献金事件で、自民側への資金提供の刑事責任が初めて問われることになった。起訴状などでは、被告人は2006年6〜7月、新しい波のパーティー券計340万円分を、西松建設が設立したダミーの政治団体新政治問題研究会」と「未来産業研究会」の名義で購入したとしている。 この問題では、「政治資金オンブズマン」(大阪市)のメンバーらが4月、被告人と新しい波の会計責任者らを政治資金規正法違反容疑で刑事告発。特捜部は、被告人については、小沢一郎・前民主党代表側への違法献金事件で起訴されているため起訴猶予とし、新しい波の会計責任者らは嫌疑不十分で不起訴とした。同メンバーらの審査申し立てを受けた東京第3検察審査会が今月16日、被告人について起訴相当、新しい波の会計責任者らについては「不起訴不当」の議決をした。特捜部は今回、被告人を再び不起訴にして審査会が2回目の起訴相当の議決をした場合、改正検察審査会法の規定により強制起訴になる可能性が高いことを考慮し、追起訴した。
(2009年6月27日03時03分 読売新聞)被告人の個人名は削除しました

裁判員裁判の開始と同時に、平成21年5月21日から改正検察審査会法が施行され新しい制度が始まりました。
具体的には、検察審査会が行った起訴相当の議決に対し、検察官が不起訴処分をした場合又は法定の期間内に処分を行わなかった場合、検察審査会は再度審査を行い二度目の起訴すべき旨の議決(起訴議決)が行われた場合は、裁判所が指定した弁護士が被疑者を起訴することになるのです。

本件では特捜部は、自ら起訴しなかった場合に、再び審査会が起訴相当の議決をし、弁護士による起訴になる可能性が高いことを考慮し、検察自ら追起訴をしたものです。さっそく、改正検察審査会法が機能した事例といえるでしょう。直接国民が司法の一翼を担う検察審査会の制度が改正によって正しく機能するようになった事例と位置づけられそうです。