生活保護の問題

生活保護受給者の医療費「取りっぱぐれない」
起訴状などによると、被告らは入院している生活保護者の診療報酬明細書(レセプト)を改竄(かいざん)するなどして、実際には行っていない手術をしたかのように装い、診療報酬約170万円をだまし取っていたとされる。起訴された以外の案件を含めるとだまし取った額は約1千万円になるとされる。

 なぜ、生活保護者が利用されたのか−。厚生労働省の担当者は、「生活保護受給者の医療費は公費で全額支給されるため取りっぱぐれがない」と指摘する。生活保護受給者の医療費は、すべて公費(国が4分の3、地方自治体が4分の1)でまかなうことが生活保護法で定められている。

 さらに、通常の保険診療なら、患者が加入する健康保険組合などを通じて医療費や診療内容が患者側に送付されるが、生活保護受給者への通知規定はなく不正が発覚しにくい仕組みになっている。福祉事務所から支給される「医療券」を提示するだけで診療を受けられる制度となっていることも、患者に医療費への関心を向きにくくさせている。山本被告らは、これらの制度を知り尽くした上で犯行に及んだ可能性がある。(2009.7.21 Sankei)

生活保護申請させ滞納家賃回収
破綻(はたん)した商工ローン「SFCG」(旧商工ファンド)系列だった業界最大手の家賃保証会社が、賃貸アパートやマンションの滞納家賃を回収するため、全国の支店を通じて家賃の支払いが遅れた入居者らに生活保護を申請させていたことがわかった。生活保護費で過去の債務を返すことは制度上認められておらず、厚生労働省は「生活保護制度を悪用する行為だ」と指摘している。

 問題とされているのは「MAG(マグ)ねっと」(東京都港区、1日に「VESTA(ベスタ)」と商号変更)。家賃保証は、業者と契約を結んだ入居者が家賃を滞納すると、業者が代わりに家主に支払う仕組みだ。信用調査会社の帝国データバンクによると、MAG社は家賃保証業界最大手で、08年の売上高は49億円。

 MAG社の内部資料などによると、生活保護の申請は6月ごろから、SFCG元社長の大島健伸氏の指示で組織的に行われていたとみられる。(2009年7月23日asahi.com)

生活保護は、生活保護法に規定する補足性の要件に該当する限り、誰でも受給できるはずの制度です。しかし、行政が生活保護申請に消極的な対応で、本来受給の必要のある者が受給できないのが現実です。上記記事のような不正な利用や、申請者本人が不正に受給する例がたくさん見られることが、行政が自衛のために申請受理に消極的になっている一因になっていると考えられます。困ったものです。