医薬品無許可販売

アトピー性皮膚炎に効く化粧品のクリームだとしてステロイドが含まれている医薬品を無許可で販売したとして、東京・新宿にあった化粧品販売会社の元社長ら5人が薬事法違反の疑いで逮捕されました。警視庁は、ステロイドは入っていないと事実と異なる宣伝をしておよそ2万個を売りさばいたとみて調べています。逮捕されたのは東京・新宿にあった化粧品販売会社「ラバンナ」の元社長(29)ら5人です。警視庁の調べによりますと、元社長らは、去年、アトピー性皮膚炎に効く化粧品だとして「NOATOクリーム」というステロイドが含まれている医薬品を東京の女性ら8人に無許可で販売したとして、薬事法違反の疑いが持たれています。「ラバンナ」はホームページなどでステロイドが入っていない「天然成分100パーセント」と説明していましたが、警視庁が成分を分析した結果、「プロピオン酸クロベタゾール」というきわめて強いステロイドが検出されたということです。クリームを使ったアトピー性皮膚炎の患者からは「ステロイドが入っていないと聞いたのに、使用をやめたら湿しんが出来た」「肌がガサガサになった」という苦情が国民生活センターなどに寄せられ、東京都が去年7月、回収を指示していました。警視庁によりますと、元社長はこれまでの任意の事情聴取に対し、「ステロイドが入っているとは知らずにアメリカから輸入した」と話しているということです。警視庁は、元社長らが事実と異なる宣伝をしておよそ2万個を売りさばき、4000万円余りの売り上げを得ていたとみて調べています。(2009年8月19日NHKHP)

アトピー性皮膚炎の治療に、一般にステロイドが有効であることは知られていますが、副作用の強い薬品ですから、患者としてはできるだけ使いたくないでしょう。本事件では、ステロイドを使っている化粧品を、そうでないと偽って販売し、健康被害が起きてしまいました。このような健康被害が起きないように、わが国では医薬品を販売するには薬事法の許可が必要とされます。消費者としてはきちんと許可を受けた製品であるか注意しておきたいところですが、許可が必要な薬品を、許可の要らない化粧品・医薬部外品と偽って販売されてしまうと、気付くことは困難でしょう。
消費者は、医者の処方箋をもらうなど、信頼できるものを買うしか自衛手段はないようです。