代理出産と特別養子縁組

長野県下諏訪町の諏訪マタニティークリニック(根津八紘院長)で、代理出産によりわが子を得た女性(27)と、代理母となった女性の実母(53)が25日、東京都内で記者会見し、「多くの人の支えでここまで来られた」「心から感謝している」と喜びを語った。国内の代理出産の当事者が顔を出して事実を公表するのは初めて。女性は「同じように悩んでいる人は多い。悩みが少しでも軽くなれば」と思いを述べた。女性は1歳のときに病気のため子宮を摘出。2006年の結婚を機に、実母から「自分が代理母になる」と持ち掛けられ、最初は「そこまでしていいのか」と悩んだという。(2009/11/25時事ドットコム

現在は、代理出産の法整備がありませんから、現行民法では、出産した女性が生まれた子どもの母親とされ、代理出産した母(産まれる子の祖母)が法律上の母になります。そこで、卵子を提供した母と子どもが法律上の親子関係となるためには養子縁組をすることになります。(下記の記事参照)
他人に代理母を依頼した場合は、その他人と卵子を提供した母との関係が錯綜するので、本件では実母(産まれる子の祖母)が「自分が代理母になる」と持ちかけたのでしょう。
親子関係の法整備が望まれます。

生まれつき子宮がない娘の代わりに実母が代理出産した「孫」と、娘夫婦との間で、特別養子縁組が成立したことが21日、わかった。国内で行われた代理出産で、戸籍上実子と同様に扱われる特別養子縁組が、裁判所で認められた事例が明らかになったのは初めて。代理出産を実施した諏訪マタニティークリニック(長野県)の根津八紘院長が、同日の自民党脳死生命倫理及び臓器移植調査会で明らかにした。

 根津院長によると、特別養子縁組が認められた男児は、西日本在住の20歳代の娘夫婦の体外受精卵を50歳代の実母の子宮に移植し、昨年2月に生まれた。現行民法では、出産した女性が生まれた子どもの母親とされるため、いったん男児は実母の実子として出生届が提出された。その後、実母と娘夫婦が特別養子縁組を希望し、家庭裁判所に申請。家族関係や生活実態などの調査を経て、裁判所は今年1月ごろ、特別養子縁組を認めたという。国内で代理出産が明らかになっているのは、根津院長が実施した8例。同院長によると、過去に別の1家族が特別養子縁組の申請をしたが、裁判所に却下されたため、通常の養子縁組の手続きを行っていた。(2009年4月22日読売新聞)

特別養子縁組とは
家庭裁判所は,申立てにより,養子となる者とその実親側との親族関係が消滅する養子縁組(特別養子縁組)を成立させることができます。
 特別養子縁組とは,原則として6歳未満の未成年者の福祉のため特に必要があるときに,未成年者とその実親側との法律上の親族関係を消滅させ,実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度です。そのため,養親となる者は,配偶者があり,原則として25歳以上の者で,夫婦共同で養子縁組をする必要があります。また,離縁は原則として禁止されています。

代理出産とは
ある女性が別の女性に子供を引き渡す目的で妊娠・出産すること。
代理出産については、日本国内では自主規制が行われているため、原則として実施されていない。しかし、代理母出産をそのものを規制する法制度は現在まで未整備となっている。


会いたかった―代理母出産という選択

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代理出産―不妊患者の切なる願い (小学館文庫)

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