「森伊蔵」「伊佐美」中国で他社が商標登録申請

人気の芋焼酎として知られる鹿児島県の「森伊蔵」「伊佐美」など3銘柄が、無断で中国の商標局に商標登録申請されていることが20日、分かった。製造元は「偽物が出回りかねない」と異議申し立ての手続きを進めるなどしている。同商標局のホームページによると、申請しているのはいずれも福岡県大牟田市を所在地とする有限会社名で、申請は2007年11月7日付。異議申し立てに向けて準備中の森伊蔵酒造(鹿児島県垂水市)の森覚志社長は「08年2月に中国で商標登録しようとしたら、既に申請が出ているとして却下された。中国での販売は現時点で考えていないが、消費者が偽物を買わされる事態は避けたい」と話している。伊佐美を製造する甲斐商店(同県伊佐市)も「昨年末に無断申請を知って驚いた」として、今月中に申し立てを行う予定。(2010/02/20共同通信

 中国での商標権は、原則として出願人の商標登録出願の順序に基づいて決定します(先願主義)。確かに、認可の公正を確保する為に、先使用主義も適用されてはいます。しかし、その適用は、2人又は2人以上の出願人が、同種類の商品又は類似商品について、同じ又は類似する商標を使用し、且つ同じ日に出願する場合に限り、先使用主義に依るとされます。したがって、1つの商標が長年にわたって使用されていても、使用者が商標登録出願をしない間に、他人がこの商標の登録を出願した場合には、他人の登録を阻止することができず、しかも当該商標の使用権が無くなります。
 先願主義であると、不正行為をする人が自分の商標として先に出願し登録を受ける事件がしばしば起きます。このような情況は正当な権利者の権利と利益が損害を受けたばかりでなく、商標登録秩序にマイナスとなっています。この為、当局は事実上先願主義の適用を制限し、悪意で他人の商標を取ったことが判明された場合には、その出願が拒絶されます。しかしながら、多くのケースの場合には、他人の出願が悪意であると立証することが非常に困難です。正当な権利者は、なるべく早目に中国で商標登録を出願をすることが奨励されます。

中国商標実務基礎

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