司法修習生給与制廃止

裁判官や検事、弁護士を目指す人は、難関の司法試験に合格した後、司法修習生として1年間、実務研修を行います。この間に支給されていた月額約20万円の給与や通勤手当が11月から廃止され、生活資金を貸し付ける貸与制が導入されることになりました。高給が待っているのだから我慢しろ…との声も聞かれそうですが、日弁連のアンケートによると、合格者の半数が、それまでの法科大学院時代に、平均で320万円、最高で1200万円の奨学金を利用しています。要はお金がかかり過ぎるのが実態なのですが、晴れて合格しても、さらに“借金”が増えることに。気になのは、優秀な学生が「金持ちしか法律家になれない」と諦めてしまわないか、それ以上に、庶民のために働こうとする若き弁護士が、借金返済から新生活をスタートしなければならない。悪徳弁護士を生む礎になるというのは杞憂でしょうか。高額の天下り退職金などを廃して、むしろ若き世代に配慮するという考え方もあってもいいような気がします。(2010.04.21夕刊フジ)

優秀な金持ちの学生であれば、教育にお金をかけることが可能ですから、色々な選択肢があるでしょう。一方、お金持ちでない学生にとっては法律家になるのにお金がかかりすぎるのも事実でしょう。しかし、費用と時間をかけた教育を受けなければ、法律家になる基本を身に付けられないと考えられている以上は、法科大学院による教育は必要な教育でしょう。例外的に、司法試験予備試験に合格する方法がありますが、こちらの試験も法科大学院での教育を受けている者と同等の能力が前提になります。
記事の通り給与制廃止は大変残念ですが、手元の用意がない場合は、奨学金を申請することができます。奨学金は借金とは違い、10数年に亘って分割返済することが基本とされています。「悪徳弁護士」になってでも、直ちに借金を返す必要はありません。また、返済義務のない奨学金も各法科大学院に用意がされています。庶民のために働く弁護士になりたい方も是非弁護士にチャレンジしてください。