日本振興銀行検査妨害事件

日本振興銀行の金融検査妨害事件で、金融庁の立ち入り検査を受けた際に電子メール約280件を削除した容疑で、同行前会長木村剛容疑者らが逮捕されました。

木村前会長は日銀出身で、小泉政権時代、竹中平蔵元金融担当相に抜擢(ばってき)され、金融庁顧問となった。大手行に厳しく不良債権処理を迫る「金融再生プログラム」の策定に携わった。日銀の福井俊彦前総裁との親密な間柄でも知られた「金融のプロ」だ。金融検査の厳格化を推進した本人が、その検査を妨害した容疑で逮捕された。(2010年7月15日神戸新聞

銀行法違反(検査忌避)の罰則は、1年以下の懲役または300万円以下の罰金。これまでも、旧UFJ銀行の元副頭取ら3人が起訴され、有罪判決が確定した例がありましたが、木村氏は金融庁顧問も勤めたことがあり、過去に検査マニュアルなども著した検査のプロでした。
プロとしての、検査妨害指南は悪質と判断されるようです。同氏は能力、経験の高い方なので犯罪の事実があるなら、真摯に対応いただいた上で、再起を図っていただきたいと念願いたします。
今回の事件を他山の石として、私たち弁護士も「法律のプロ」でありますから、基本に立ち返り、クライアントに間違った指南をしないように、十分心得ておきたいと思います。