ヤクルト容器の立体商標の話

乳酸菌飲料の容器の立体商標登録を巡り、ヤクルト本社(東京都港区)が登録を認めなかった特許庁に対して審決の取消を求めた訴訟の判決が16日、知財高裁であった。中野哲弘裁判長は「容器の形状は消費者に強い印象を与えるもので、それ自体で商品の識別能力がある」と述べ、ヤクルト本社の請求を認めて審決を取り消した。(読売新聞 2010年11月16日)


商標とは、商品・役務の提供を受ける消費者が、その商品や役務の出所(しゅっしょ)を認識するために使用される文字・図形・記号・立体的形状などの標識のことをいいます。そのうち、立体商標とは、立体的形状からなる商標をいいます。例えば、ペコちゃん人形、カーネル・サンダース、かに道楽の「動くかに看板」などがあります。
商品そのものの立体的形状として有名なものとしては、コカコーラのビンがあります。ヤクルトのビンも立体商標として認められたのですから、今後同様の形状を使用している企業は商標の侵害にならないように注意が必要です。
ちなみにあのビンの形は、ヤクルト本社のホームページによると、

ヤクルト容器の開発は、1965年にスタート。発売以来30数年続いた、ガラス容器からのリニューアルでした。そこには、親しみやすいものを。食卓にもふさわしいものを。落としにくいものを。落としても壊れないものを。など、さまざまなリクエストがありました。そして、3年後の1968年。ついに新しい容器が誕生。それは子供からお年寄りまでみんなが持ちやすい。しかも、中身が一気に口に入らず、少しずつ味わいながら飲める。独特なくびれのある斬新なデザインでした。改めてヤクルトを飲んでみると「なるほど!このくびれにはそんな理由があったのか」と、新鮮な驚きを感じていただけるかも。ちなみに容器デザインのイメージは、なんと「こけし」だったそうですよ。

と言うようにくびれに独特の特徴があるようですね。
逆に、株式会社ひよ子の立体商標であるひよ子は、「本件立体商標に係る鳥の形状自体は,伝統的な鳥の形状の和菓子を踏まえた単純な形状の焼き菓子として,ありふれたものとの評価を受けることを免れない」とした原審を維持して、最高裁が上告を棄却したため、商標が取消されています。

商標実務入門―ブランド戦略から権利行使まで

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商標法 (知的財産法実務シリーズ)

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