特許に勝る「秘伝のタレ」

「秘伝のタレ」。三菱化学社長の小林喜光(64)がこう呼ぶ材料がある。記録層に使う「AZO色素」。光や熱など環境変化に強く、映像やデータを安定的に記録・再生できる。三菱化学はこの材料の特許取得にとどまらず、タレの価値を高めるために事業モデルをがらりと変えた。

 製造装置会社と組み、同材料を使って記録型DVDを安く大量生産する工程を開発。新規参入を狙う新興国企業などに採用を働き掛けた。材料そのものはブラックボックスのため三菱化学から買うしかない。執行役員の奥川隆生(58)は「ピーク時には世界で生産される記録型DVDの9割にタレが使われた」という。競合企業が販売を伸ばすほど三菱化学が潤う。(2010/11/18日経新聞

独自技術を開発した際、特許をとって権利を守る以外に、特許をとったら製法が公開されてしまうので製法を秘密にして「秘伝のタレ」としておく方法が考えられます。「秘伝」として有名なものとしてはコカコーラの原液などが知られています。一般には、記事にあるように他社に販売する場合は、特許をとってまねされないよう権利処理をした上で販売することが多いでしょう。というのも、いったん他社に出回ってしまうと、リバースエンジニアリングなどによって材料が秘密ではなくなってしまうからです。
「秘伝のタレ」としつつ、ライバル会社宛販売する三菱化学の例は稀な例でしょう。

特許法 (法律学講座双書)

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