取締役の責任と経営判断の原則

会社法では、会社の取締役は会社の経営について善管注意義務を負っており、その義務に反して会社に損害を与えた場合は責任を負う事になっています(会社法423条など)。会社経営についての広い裁量を有している以上、責任が伴うのは当然の定めです。ところが、会社の損害について、取締役の責任を広く認めてしまうと、取締役が経営遂行を萎縮してしまうことから、一定の場合には、注意義務が果たされているとして、責任を問われません。そのひとつが経営判断の原則です。
経営判断の原則について従来は、(1)必要な情報を収集し、(2)合理的な判断をしたことが立証できれば免責されていましたが、近時はそれらの中身が、厳しくチェックされて、結果的に取締役が免責されないケースが多く出てきています。裁判所によって「経営判断の原則について」の新しい規範が形成されつつ有るのかの検討を含めて、更なる検討が必要な分野と考えております。
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