法科大学院定員やはり2割削減へ

法科大学院、司法試験合格下位校は統廃合を…中教審提言
 法科大学院のあり方を検討している中央教育審議会文部科学相の諮問機関)の特別委員会は17日、法科大学院改革を巡る提言の最終報告をまとめた。

 司法試験の合格率が低い大学院などに入学定員の自主的な削減や大学院同士の統廃合を検討するよう求めた。法曹の質と量を向上させるため、2004年に一斉開学した法科大学院にとって厳しい内容で、文科省は今後、最終報告書を各大学院に送付し、自主改革を迫る。

 最終報告によると、定員削減の対象となるのは、〈1〉入学時の競争倍率が2倍に満たない〈2〉司法試験の合格率が低迷している――などの大学院。特に、小規模校や地方の大学院については、教員の確保が難しく、志願者が集まりにくいことから、統廃合を検討するべきだとした。法科大学院74校のうち、半数近い36校が定員50人以下で、今後、こうした小規模校を中心に再編が進む可能性がある。

(中略)

  一方、合格率の高い大学院でも定員削減の動きが出ており、東京大は来年度から300人を240人に減らし、京都大も200人を160人に削減する。東京大の井上正仁・法学政治学研究科長は「学生の質の向上をはかるため」と説明している。

(2009年4月17日 読売新聞)

各大学院の自主的な判断だけでは、「見直し」もなかなか困難ですから、中教審が提言することには意味があるのでしょう。
ただ、
http://d.hatena.ne.jp/n1516e/20090412/1239500127
http://d.hatena.ne.jp/n1516e/20090413/1239593836
などで、法曹には多様性の確保が必要と考えている旨書いておきましたが、中教審提言では、法曹の質の向上を目当てに、定員の削減を提言しており、残念な事に多様性も確保できる保証はありません。削減の是非については、既に上記のブログでも述べましたので、繰り返し言及する事は避けますが、今提言における削減の方向として
〈1〉入学時の競争倍率が2倍に満たない
〈2〉司法試験の合格率が低迷している
などを対象にすることにより、小規模校や地方の大学院が統廃合されてしまうのは、いかがなものかと・・・。
社会人の通いやすい大学院、司法過疎対策でもある地方の特色を生かした大学院など小規模ならではの教育が実施できる大学院は、存続させた上で質の充実を図るような施策をとるべきです。
むしろ、現状の定員及び合格率では三振博士を必然的に大量に出すことになってしまう大規模校は、大量の三振博士を出さないような定員数にするべきと考えます。その意味では、合格率が相対的に高いとはいえ、現状の定員数では大量の三振博士を出してしまう事になる東大・京大が、定員を削減する事は中教審提言の背景にそった改革といえるでしょう。