水道メーター談合「証拠ない」

神奈川県発注の水道メーター入札で談合があったとして、入札参加メーカー6社を相手に県が約1億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、横浜地裁であった。小林正裁判長(鶴岡稔彦裁判長代読)は「全証拠を検討しても談合が行われた証明とは認められない」として、県側の請求を棄却した。
 訴えられていたのは愛知時計電機名古屋市)、金門製作所(東京都板橋区)、東洋計器(長野県松本市)など。裁判は入札に参加した10社を相手に県が05年4月に提訴。2社が破産、別の2社との間で和解が成立し、残る6社と訴訟が続いていた。
 問題になったのは、00年4月〜02年5月の水道メーターの入札45件。東京都発注の入札でも被告複数社による談合事実があり、実際に価格の高騰がみられるなどとして、県が落札価格の差額を請求。6社は「談合の事実はない」として棄却を求めていた。(2009年7月16日 asahi.com

神奈川県が、業者間談合の存在によって、談合がなかった場合との差額分の損害があったとして、関係各社を訴えた事件です。
談合の要件は、「合意」の存在で、その立証責任は、合意によって損害を被ったと主張する神奈川県にあります。逆に、被告側は、談合の事実はなかったことを立証する必要はありません。ただ、談合の場合はいわゆる「密室」で行われるのが普通ですから、「いつ、どこで」談合があったことを立証するのは不可能を強いるものとして、間接証拠によって立証することが認められたようです。
県側の間接証拠としては「東京都の入札で談合があったから、神奈川県でも談合があった」というものが主たるものですが、さすがに、これでは立証が難しかったようです。

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