セブン―イレブンに排除命令

コンビニエンスストア最大手「セブン―イレブン・ジャパン」(東京)が加盟店に対し、販売期限の近づいた弁当などを値引きする「見切り販売」を制限したのは、独占禁止法で禁じられている優越的地位の乱用に当たるとして、公正取引委員会は22日、同社に同法違反で排除措置命令を出した。セブン―イレブン・ジャパンでは弁当やおにぎり、総菜などについて、消費期限よりも前に独自の販売期限を設定。売れ残りの商品は廃棄処分となり、損失はすべて店側が負担する仕組みになっている。公取委は同社について、社員向けのマニュアルや研修で、加盟店に見切り販売を行わせないことを徹底していたと認定。見切り販売の制限は契約上、何ら根拠がないにもかかわらず、同社は店側に対し「契約違反だ」と言って値引きをやめさせたり、値引きをやめない店には「このままでは(フランチャイズ)契約の更新ができない」と迫ったりしていたという。公取委によると、同社加盟店は全国約1万1200店で、年間売り上げは約2兆4200億円。全国1100店を抽出して調べた結果、年間廃棄費用は1店平均約530万円に上った。(2009年6月22日19時55分 読売新聞)

優越的地位の濫用とは、独占禁止法が規制する「不公正な取引方法」の一つで、優越的地位とは同法2条9項5号にありますが、現在では取引必要性の基準が優越的地位にあるとされます。すなわち、取引関係にあるXYについて、XがYと取引をせざるを得ない関係にある場合に、YがXに対して優越的地位にあると考えられます。また、濫用とは合理的理由のない負担をYがXに負わせることが判断基準にになります。
上記報道内容を前提に、これを検討すると、①消費期限前に独自の販売期限を設定していること、②販売期限切れの見切り販売の制限は契約上根拠のないこと、③損失はすべて店側の負担であること、④値引きをした店に圧力をかけていたことなどからすると、公正取引委員会が優越的地位の濫用にあたると判断をし排除措置命令を出したのも妥当でしょう。こうなると、セブン―イレブンとしては、優越的地位にあたらないようにするのは困難ですから、濫用事案にならないよう、取引関係を改善する必要がありそうです。
セブン―イレブンとして、廃棄費用の一部負担を表明したことは評価できそうです。

独禁法講義

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