民法(債権法)改正主なポイント解説 その5 解除

1 解除の要件に関する基本方向は、重大な不履行に基づく解除催告解除との二元的構成です。またいずれの解除においても、従来の通説が主観的要件として要求してきた故意・過失その他信義則上これと同視される事由(帰責事由)は不要とされます。
2 重大な不履行の概念は、日本の解除要件に関する判例法が形成してきたものです。契約上の債務の不履行が、常に解除をもたらすわけではないことから、このような概念となりました。
3 現行民法541条の履行遅滞にもとづく催告解除は、維持されます。
4 解除の効果は概ね現行法と現在の判例法を踏襲するものです。それは
(1)原状回復
(2)損害賠償請求
(3)同時履行の抗弁に関する規定の準用
に加えて、
(4)物の給付を目的とする契約を解除する場合に、目的物が滅失した場合には、解除者は目的物の価額について返還義務を負う
とされて、現行民法536条の危険負担とは異なり、判例実務に従っています。