集団的自衛権に関する一考察

先日、弁護士会の研究会で、水島朝穂早大教授の講義を聞いてきましたので、整理しておきます。
まず、議論の前提となる我が国の統治の機構は、(1)三権分立制(2)立法権は国会(3)違憲審査権は、最高裁判所および下級裁判所の権限(4)違憲審査は、抽象的審査ではなく付随的審査が行われるについて整理します。
(1)三権分立日本国憲法は、統治の機構について、ある組織またはある個人がすべての権限を有することとしないで、三権を別々の機構に分けてあります。いわゆる抑制と均衡を図るためにそのような機構としております。
(2)立法権は国会の権限三権の内、国の立法はすべて国会によって行われることとされます(国会中心立法の原則)。その際、立法の手続に国会以外の機関が参加することがないとされます(国会単独立法の原則)。
(3)違憲審査権は、最高裁判所および下級裁判所の権限違憲立法審査とは、法律や行政の行為が、憲法に適合するかどうかを審査し判断することで、その権限は最高裁判所および下級裁判所にあると規定されています。
(4)違憲審査は、抽象的審査ではなく付随的審査が行われる
ただし、違憲審査は、ある法律が制定されると、その法律自体が違憲かどうかをいきなり審査できる抽象的審査ではなく、具体的な事件の審査に付随して違憲審査をするという付随的審査が行われることになります。裁判所が有する司法権とは、具体的な事件についての審査を行う権限だから当然に付随的審査に限られることになるのです。

集団的自衛権違憲か合憲かを議論する前提で、かなり紙幅を使ったので今回はここまでとしておきます。