菅家さん完全無罪
最後に佐藤裁判長は菅家さんを見つめ、「通常ですと、(被告に)訓戒ができることになっていますが、本件では自戒の意味を込めて謝罪とさせていただきます」と切り出した。続いて「菅家さんの真実の声に十分に耳を傾けられず、17年半もの長きにわたり、自由を奪う結果になったことは公判を担当した者として誠に申し訳なく思います」と謝罪。その後、両脇の陪席判事を含めた3人の裁判官が起立し、証言台の前に座った菅家さんに向かって、3秒ほど深々と頭を下げた。菅家さんは座ったまま一礼した。佐藤裁判長は「今回のことを肝に銘じて、二度と起こしてはいけないと強く感じています」と言葉をつなぎ、「菅家さんに幸多きことを心よりお祈りし、込められた思いを深く胸に刻んで、再審公判を閉じることにします」と結んだ。(2010年3月26日読売新聞)
26日に足利事件の被告人であった菅家さんに無罪判決が出ました。弁護人の説明では、判決理由にて、DNA鑑定の証拠能力だけでなく、自白の信用性も認めなかったことを「完全」な無罪としておられました。
また、判決後に判事からの謝罪があったのも象徴的な出来事でした。私も、別の事件で裁判所に出向いておりまして、裁判官からの原告本人とのやり取りに接しましたが、担当裁判官の人情あふれるお言葉に私も心を動かされるという経験をしました。その事件では、「謝罪」ということではありませんが、裁判官としての職務上の発言であると同時に、ひとりの人間としての真情の吐露には当事者あるいは弁護人としても、共感できるのではないでしょうか。足利事件は、いろんな意味で弁護士として教訓になる事件となりました。
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