夏休み読書感想文 「巨大投資銀行」を読んで

夏休み、読書感想文の宿題に悩まされている学生も沢山いらっしゃるのでは?そろそろ、書き始めて夏休み中に完成したいですよね。
一応、感想文を読む側、採点する立場から見たポイントのようなものを示しておきます。また、先日東京新聞に掲載された記事も参考に示します。
そして、最後に、私の読書感想文(の一部)を書きました。

  1. その本の背景と大まかなストーリー(書評や本の広告などを参考に書ける)
  2. 著者の特に主張されていること(同上+本のはしがき・あとがきを参考に書ける)
  3. 感動した部分・心に思い当たる部分(2をベースに、自分が特に感じた点を加味すれば良い)
  4. 本を読んで3から自分に当てはめて、反省や決意(ここは唯一オリジナルな主張。但し、2は参考になる)

感想文の展開には四つの接続詞「な・た・も・だ」が役立つ。本の中で面白いと思う部分を抜き出し、意見する。その理由を「なぜならば…」と述べ、「例えば」で関連する具体例や体験を交えてみる。仮定を挙げ、自分ならどうするかを「もしも」で説明。最後に「だから」でこれまでの話をまとめる。中学生には「自らの問題意識をしっかり認識し、解答を得られる本を勧めたい」と宮川さん。どう生きるかを考えると、どう生きてきたかを振り返ることになる。体験談を交えて「等身大の自分史」を目指してみる。(2010年8月20日東京新聞

黒木亮「巨大投資銀行」を読んで
著者の黒木亮氏は、1957年北海道生まれ。三和銀行外資系証券会社、三菱商事勤務にて、国際金融・プロジェクト金融業務に活躍。三菱商事勤務の傍ら小説「トップ・レフト」でデビュー。本作以外の著書にも国際金融を舞台にした作品が多数ある。
本書は、3人の外資マンを主たる登場人物として、M&Aアービトラージ、損失先送りの仕組み商品など実際の国際金融市場における巨大投資銀行の活躍を描く。実話に基づく記述が多いことから、国際金融史・金融ビジネスを学ぶにも格好の書であろう。
事実に基づいている事から、実際に金融界に身をおいている者にとっては、自らのキャリアを本書の記述に照らして反省・フィードバックする事に役に立つし、これから金融を学ぼう、あるいは、職を得ようと考える者にとっては、教科書としても最適であろう。
一方で、小説として物語に込められた著者の主張も垣間見られる。例えば、主人公の一人である桂木は、物語の後半で、投資銀行の職を捨て、日本の銀行界に戻って、日本の金融界、さらには経済界の再建に尽力する道を選んでいる。そこには、ビジネスマンとしての生き方、さらには、桂木が外資で培った発想を日本の銀行も装備して欲しいとの著者のある種ロマンが描かれている。
現実の混沌としたビジネスに身を置くものにとっては、一服の爽快感を味わうことができる作品である。

巨大投資銀行(上) (角川文庫)

巨大投資銀行(上) (角川文庫)

巨大投資銀行(下) (角川文庫)

巨大投資銀行(下) (角川文庫)