会社法改正(2)監査等委員会
5月1日に迫ってきた会社法の施行。改正内容の解説の第二回目は、会社の新しい機関である監査等委員会について。
監査等委員会は、取締役会設置会社、かつ、会計監査人設置会社であれば、大会社でなくても、公開会社でなくても設置できます。
監査等委員会は、3 名以上の監査等委員から構成され、全員取締役である必要があり、監査等委員の過半数を社外取締役が占める必要があります。
(社外取締役2名以上の選任が必要となります。)
これまでの制度では、社外取締役と社外監査役の機能が重複すること、社外の人材が何人も確保できないことから、これを「合体」させるような機関として導入されました。
ちなみに、監査等の「等」は、監査に加えて役員の指名及び報酬につき意見陳述権を有することから、監査等と呼ばれるとの事です。
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債権法改正(2)定型約款
本日、民法を抜本的に見直す改正「要綱」を、法務大臣の諮問機関とされます法制審議会が大臣に答申しました。今後、3月をめどに通常国会への民法改正案提出が現実的になりました。
本ブログでも改正案についてコメントしておりますが、その第二回目は、定型約款についてです。
1 定型約款の定義
定型約款とは、定型取引(不特定多数の方との取引であり、画一的な内容が含まれる取引)に、契約の内容として使われる規定をいいます。
2 定型約款についてのみなし合意
定型取引を行うことを合意した場合には、定型約款の条項についても合意をしたものとみなされます。
例外として、その条項のうち、相手方の権利を制限し、義務を加重する条項で、相手方の利益を一方的に害するものについては、合意をしなかったものとみなされます。
3 その他
定型約款は契約当事者の一方が契約の内容を作成するわけですから、その内容の表示や変更についても規制があります。
以上の規律は、具体的にどのような効果を発揮することになるのでしょうか。
銀行預金の約款、保険契約の約款、携帯電話の約款など、皆さんもご覧になったご記憶があるかと思いますが、通常は小さい字で詳細に亘り規定があります。
これらについて、合理的な契約内容であることが求められ、一方的な条項は合意が無かったものとして、取引に適用されないことになります。
したがって、事業者側は約款の内容が「一方的に自社に有利」にならないように注意が必要になります。
債権法改正(1)法定利率
民法典が施行されて100年以上が経過し、解釈によって法律を適用するのは難しくなっています。そこで、民法のうち債権法部分は改正に向け法制審議会民法(債権関係)部会にて議論が進んでいます。早ければ、今年中に国会で審議されることになります。
JA金融法務2015年2月号 http://www.khk.co.jp/ に、
「民法はこう変わる JA職員が押さえておくべきキーワード10」と言う寄稿をしました。
紙幅の関係で、10個のキーワードだけに言及しておりますので、説明できなかった点について、このブログに書くようにします。
第一回目は法定利率について。
法定利率
現在の法定利率は5%に固定されています。改正案では、実勢金利に合わせるという趣旨で3%に引き下げ、その後は数年ごとに1%刻みで見直す変動制としております。
未だ法制審議会に民法部会ができる前ですが、ある学者に「5%は高いか?固定金利と変動金利のどちらが良いか?」尋ねられたことがあって、実務家の案としてお答えしたことがありました。今回の改正でその時の案が、ほぼ実現できそうで楽しみです!
会社法改正(1)社外取締役の選任
平成27年5月1日改正会社法施行日が近づいてきています。
そこで、少しずつですが改正内容とその影響をコメントして参ります。今回は、社外取締役選任を例に具体的な施行スケジュールについて簡単に説明します。
3月決算の会社の場合、以下の通りのスケジュールになります。
3月末日 事業年度の末日
5月1日 改正会社法施行
5月末日頃 事業報告書作成
6月上旬 株主総会招集資料発送
6月末日まで 株主総会席上にて新任取締役選任
事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社で
あり、かつ、大会社であるものに限る。)が社外取締役を置いていない場合には、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないとされています。
一見すると、もし、6月の株主総会で、社外取締役を選任しない会社は、その時から「社外取締役を置くことが相当でない理由を説明」すれば良いようにも思いますが、全く違います。
事業年度の末日である、3月末日時点で社外取締役がいない会社は、5月1日以降、どの機会においても説明義務が発生しています。具体的には、事業報告書にも、総会招集資料にも書かなければなりません。
また、新年度においても社外取締役を選任しない場合は、総会席上にても説明する必要がありますのでご留意が必要です。
では、「社外取締役を置くことが相当でない理由」とはどのように説明されるのでしょうか?
これは、会社ごとに個別の事情がありますので、「ひな形」のようなものを示すのは難しいでしょうが、社外取締役を置くことで経営への監督機能を高め会社のガバナンスを強化する目的を達成しようとするものですから、その目的を達成するために、社外取締役を置くことが相当でないことを端的に説明することに尽きると考えます。
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小説で読む刑事訴訟法、増刷になりました!
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東京弁護士会金融取引法部にて、「高齢社会における民事信託の積極的活用」の報告をしました。
これは、先日神戸で開催された第18回弁護士業務改革ジンポジウム参加報告を兼ねての報告です。
相続人がいない場合の財産承継、認知症になってしまった配偶者への相続、あるいは、相続人である配偶者死後の財産処分方法の指定など、信託のスキームを利用することにより実現できる法的効果を報告しました。特殊な財産処分の場合に、考えられる方法がいくつかございますので、お気軽にご相談下さい。
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