更新料無効

賃貸住宅の「更新料」支払いを定めた契約条項を、消費者契約法に照らして無効とする初の司法判断を示した23日の京都地裁判決は、「賃料の補充」など、従来の同種訴訟の判決が認めてきた更新料についての家主側の主張を「合理性がない」と一蹴(いっしゅう)した。原告側弁護団は「消費者保護の流れに沿った素晴らしい判断」と手放しで喜び、長年の〈慣習〉を否定された形の家主側関係者は、「不当な判決だ」と声を落とした。
 同法を巡って更新料の有効性が争われた訴訟は少なくとも4件あるが、昨年1月の京都、今年3月の大津の両地裁判決が、「更新料は賃料を補充するもの」と家主側の主張に沿った判断を示すなど、更新料は有効との判決が続いていた。
 今回の訴訟でも、家主側は同様の主張で臨んだ。だが、判決は「合理的理由があるとは言えない」とことごとく退け、これまでとは正反対の結論を導き出した。
 閉廷後、記者会見した原告代理人の平尾嘉晃弁護士は「更新料は有効との結論ありきだったこれまでと違い、妥当性を綿密に分析した判決。更新料を賃料と認識して支払っている人はほとんどおらず、家主側の主張は詭弁(きべん)だ」と強調。判決が従来の判例と逆になったことについては、「判断する人の価値観の違い。原告男性の退去が、更新後2か月だったという事情も考慮されたのでは」と分析した。
 一方、賃貸住宅管理者ら約1100社が加盟する「日本賃貸住宅管理協会」の大路博司・京都府支部支部長は「更新料は有効と思っており、不当な判決だ。8月下旬に大阪高裁である同種訴訟の控訴審判決に注目したい」と話した。
 首都圏の家主から経営相談を受ける「東京共同住宅協会」の森政行・相談員委員長は「賃貸契約書の内容が覆されるなら、契約行為にどんな意味があるのか。今後、各地で同種訴訟が起こる可能性もあり、大家さん泣かせの判決」と憤った。(2009年7月24日 読売新聞)

この判決までは、一般には「更新料は賃料を補充するもの」との認識でしたらから、本判決のような消費者契約法に照らして無効とする判断は、はっきり言って意外です。
仮に、こういった判断が定着すると、貸主としては更新料に代えて賃料の値上げなどで実利を取ることになるでしょうから、この判断自体はあまり良い判断とも思われません。
上級審での判断に注目したいと考えます。

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