診療報酬ファンド破たん

医療機関の診療報酬請求権を基に、資産運用のための債券(レセプト債)を発行しているファンド3社と運用会社1社が破綻し、顧客への配当が止まったことがわかった。

 3社の発行債券の残高は約227億円に上るが、数千人の顧客が償還を受けられない可能性がある。ファンドの決算内容に不審な点があることから、証券取引等監視委員会が調査を始めた。

 6日に東京地裁に破産手続きの開始を申し立てたのは、「メディカル・リレーションズ・リミテッド」(東京都新宿区)などファンド3社と、関係する運用会社「オプティファクター」(品川区)。メディカル社は同日付で破産手続き開始決定を受けた。4社の負債総額は約290億円。

 関係者によると、メディカル社などは、病院や薬局が健康保険組合側に請求できる診療報酬の権利を買い取り、元利金の支払いに充てる債券を発行。年利は3%で、国内の七つの中小証券会社が延べ数千人の投資家に販売していたという。(2015年11月08日読売新聞)

 診療報酬は、患者さんを診療した医療機関が、支払基金を通じて健康保険組合等に請求して支払いを受けます。支払基金医療機関からの診療報酬請求が正しいか審査したうえで、健康保険組合等へ請求し、健康保険組合から支払われた医療費を医療機関へ支払いをする仕事をしています。

 健康保険組合⇒支払基金医療機関に支払われるのに一定期間が必要となりますので、すぐに現金が必要な医療機関はこの請求権を担保に金融機関からお金を借りるか、債権を売却して現金を入手します。

 本件では、その債権を買い取ったファンドがそれらの債権を裏付けとして債券を発行し、証券会社を通じて投資家に販売していたようです。

 診療報酬債権は、健康保険組合側からほぼ確実に支払いが行われるため、これを基にした債券(レセプト債)は一般的に安全性が高いとされていたので、以外な破たんです。

松田聖子デビュー35周年記念アルバム「We Love SEIKO」

 松田聖子のデビュー35周年を記念して自身初のオールタイムベストアルバムが発売されるようです。
 30周年記念の竹内まりやプロデュースシングル「特別な恋人」、今回の35周年記念である作詞:松本隆、作曲:呉田軽穂、編曲:松任谷正隆の「永遠のもっと果てまで」も収録されているようです。
 最近は、ダウンロードで済ませてしまい、CDの現物を買うことも少なくなっていますが今回は現物をさっそく予約しました。



集団的自衛権に関する一考察(2)

集団的自衛権を含めて、安保法案と言われている法案は、新しく制定する国際平和支援法と、10本の改正法案を一括して、「平和安全法制整備法」との名称で国会で審議されています。
安保法案の中身を整理しておこうと思いましたが、全部で11も法案があるので、網羅的に整理するのはあきらめて、「論点」をQ&A方式でまとめてみようと思います。(まとめ方は、NHKや新聞各紙、ロイターなど通信社の記事などを参考にしました。)
Q1 なぜ、今、安保法律整備をやろうとするのでしょうか。
A1 安保法案整備は今から始めたのではなく、昨年の5月頃から与党間で議論されていました。整備の理由は、政府見解によると、1つは中国の台頭など国際情勢が大きく変化して日本の周りに危険が増え態勢強化が必要だという点、もう1つは、アメリカが、自衛力の強化を求めていると言うことです。
Q2 アメリカの提案する自衛力の強化はアメリカとの同盟関係の強化に他ならないと思われますが、他方で、近隣諸国の反発を招きませんか。
A2 当然そうなります。近隣の中国や韓国に対しても、安保法案整備が必要であることを納得させる努力が必要です。近隣の諸国の内、北朝鮮は、どうしたら納得させられるか方向がわかりませんので、努力できないのが残念です。
Q3 では、法案の中身を教えてください
A3 法案は新しく制定する国際平和支援法と10本の改正法案ですが、ざっくり「日本の平和と安全」、「国際社会の平和と安全」を目的にしたものです。
決してわかり易くありませんが、政府がまとめた「平和安全法制」の概要は次のURLを参照ください。
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/gaiyou-heiwaanzenhousei.pdf 
それによると、武力攻撃事態等への対処、重要影響事態における後方支援活動等の実施、国際平和共同対処事態における協力支援活動等の実施、国際連携平和安全活動の実施・・・
Q4 わかりづらいので、じゃあ集団的自衛権だけでいいので教えてください。
A4 集団的自衛権は、政府の整理のよれば、武力攻撃事態等への対処ということになりますが、集団的自衛権と言われる権限は「新三要件」の下で、「武力の行使」が可能にということです。その3要件は
 (1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
 (2)これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
 (3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
  です。
Q5 それらの要件が有るか無いか誰が判断するのでしょうか
A5 政府が判断した場合に、国会の事前承認を要件にしています。
Q6 集団的自衛権憲法に反するのではないですか
(次回へ続く)

集団的自衛権に関する一考察

先日、弁護士会の研究会で、水島朝穂早大教授の講義を聞いてきましたので、整理しておきます。
まず、議論の前提となる我が国の統治の機構は、(1)三権分立制(2)立法権は国会(3)違憲審査権は、最高裁判所および下級裁判所の権限(4)違憲審査は、抽象的審査ではなく付随的審査が行われるについて整理します。
(1)三権分立日本国憲法は、統治の機構について、ある組織またはある個人がすべての権限を有することとしないで、三権を別々の機構に分けてあります。いわゆる抑制と均衡を図るためにそのような機構としております。
(2)立法権は国会の権限三権の内、国の立法はすべて国会によって行われることとされます(国会中心立法の原則)。その際、立法の手続に国会以外の機関が参加することがないとされます(国会単独立法の原則)。
(3)違憲審査権は、最高裁判所および下級裁判所の権限違憲立法審査とは、法律や行政の行為が、憲法に適合するかどうかを審査し判断することで、その権限は最高裁判所および下級裁判所にあると規定されています。
(4)違憲審査は、抽象的審査ではなく付随的審査が行われる
ただし、違憲審査は、ある法律が制定されると、その法律自体が違憲かどうかをいきなり審査できる抽象的審査ではなく、具体的な事件の審査に付随して違憲審査をするという付随的審査が行われることになります。裁判所が有する司法権とは、具体的な事件についての審査を行う権限だから当然に付随的審査に限られることになるのです。

集団的自衛権違憲か合憲かを議論する前提で、かなり紙幅を使ったので今回はここまでとしておきます。

債権法改正(3) 法案提出される

債権法改正法案が去る3月31日に国会に提出されました。
改正理由として、
「社会経済情勢の変化に鑑み、消滅時効の期間の統一化等の時効に関する規定の整備、法定利率を変動させる規定の新設、保証人の保護を図るための保証債務に関する規定の整備、定型約款に関する規定の新設等を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」とあります。
 理由の一つ目と三つ目は、JA金融法務2015年2月号に、二つ目と四つ目は本ブログにて説明しておりますので、ご参照ください。

民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案の概要

民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案の概要

食品表示法が施行

食品の栄養成分や賞味期限などといった表示は、これまで食品衛生法など3つの法律でバラバラに定められていましたが、これらを一括して定める食品表示法が1日に施行されました。この法律では、これまで事業者に表示の判断が任されていたカロリーやたんぱく質、脂質、炭水化物、それに食塩相当量の5つの項目について、小規模な事業者などを除いて加工食品や添加物に表示することが義務づけられます。また、アレルギーに関する表示も厳格化されます。(NHKホームページ 2015年4月1日)

食品の表示に関する法律は、現在消費者庁が、JAS法、食品衛生法健康増進法の表示規制にかかる事務を一元的に所掌しております。今般、これらの食品表示に係る部分を一元化して食品表示法として施行されました。
5年間の経過措置がありますので、表示が統一されるまでしばらく時間がかかるかもしれないですね。
また、新しく機能性表示制度ができました。6月に「頭に良い」「脂肪吸収を抑える」などといった機能性が表示された食品が店頭に現れることになります。

本の紹介 90分で納得!!ストーリーでわかる相続A to Z

本の紹介です。
 あさひ法律事務所所属の弁護士の皆さんが「90分で納得!!ストーリーでわかる相続A to Z」と言う本を経済法令研究会より出版されました。
 突然「子ども」と称する人が現れたら?生命保険や税金はどうなる?など、実務でも、稀な事例も網羅しており勉強になる本です。
 一般の方も、ストーリー部分だけを読み物として楽しむこともできます。